あれは忘れもしない、仕事が立て込んでいた年度末のことでした。朝起きた瞬間に感じた異常な寒気と体の節々の痛みは、最初はインフルエンザか何かだろうと高を括っていました。しかし、数時間後には体温計が三十九点五度を指し、これまでに経験したことのないような激しい頭痛に襲われました。慌てて近所の内科に駆け込み、検査を受けましたが、インフルエンザも新型コロナも陰性。医師からは「ただの風邪でしょう」と解熱剤を処方されただけでしたが、熱は一向に下がる気配を見せず、四日間もの間、私はベッドの中で高熱と戦い続けました。食事は一切喉を通らず、水分を摂るのが精一杯の状態で、まさに死の淵を彷徨っているような感覚でした。そして五日目の朝、ようやく熱が三十七度台まで下がり、安堵したのも束の間、鏡を見て絶句しました。首筋からお腹、背中にかけて、見たこともないような細かな赤い斑点がびっしりと広がっていたのです。痒みはほとんどありませんでしたが、その見た目の異様さにパニックになり、再び病院へ向かいました。皮膚科を併設している総合病院を受診したところ、医師から告げられた病名は、耳を疑う「突発性発疹」でした。それは子供がかかる病気ではないのかと問い返すと、先生は「大人でも免疫が落ちているときや、稀に感染することがあるんですよ」と静かに教えてくれました。大人の場合は、子供の頃に獲得した免疫が弱まっていたり、何らかの理由でウイルスが体内で再燃したりすることがあるそうです。私の場合、連日の残業と不規則な生活で免疫力が底をついていたのが原因だったのでしょう。発疹が出てからは、高熱の山は越えたものの、今度は形容しがたい倦怠感と気力の減退に悩まされました。結局、仕事に復帰できるまでにはさらに一週間を要し、完全に元の体調に戻るまでには一ヶ月近くかかりました。大人が突発性発疹にかかると、これほどまでに体がボロボロになるのかと痛感した出来事でした。この経験を通じて学んだのは、自分の体力を過信してはいけないということです。特に子供の病気だと思い込んでいるものであっても、大人が発症すればこれほど重症化し、生活を脅かすものになるのだという教訓を得ました。もし、原因不明の高熱が続き、その後に発疹が出たのであれば、恥ずかしがらずにすぐに医師に相談してください。それは体が限界を超えているという、切実な警告なのかもしれません。