甲状腺という臓器は喉仏のすぐ下に位置し、新陳代謝を活発にするホルモンを分泌していますが、このホルモンのバランスが崩れると全身に多様な症状が現れます。多くの患者さんが、心臓がバクバクする、手が震える、急に痩せるといった症状から循環器内科を受診したり、逆に無気力になり落ち込むことから心療内科を訪れたりしますが、実はその根底に甲状腺の機能異常が隠れていることは珍しくありません。専門医の立場から言えば、甲状腺に異常を感じた際に真っ先に検討していただきたいのは、やはり内分泌代謝内科です。この診療科では、血液中の甲状腺刺激ホルモンであるTSHや、実際の甲状腺ホルモンであるFT3、FT4という数値を測定し、ミリ単位の精緻なバランスを評価します。ホルモンの値はわずかな変動でも体調に大きな影響を及ぼすため、その調整には高度な専門知識が求められます。また、受診の際に行われる超音波検査は非常に重要な役割を果たします。これは皮膚の上から機械を当てるだけの痛みのない検査ですが、甲状腺の大きさや血流、さらに腫瘍の有無をリアルタイムで確認することができます。もし、甲状腺の中に腫瘍が見つかった場合には、その内容物を細い針で吸引して細胞を調べる穿刺吸引細胞診という検査が行われることもあります。この段階になると、内分泌内科だけでなく、甲状腺外科や内科と連携した専門病院での管理が望ましくなります。患者さんの中には、どのタイミングで大きな病院へ行くべきか迷われる方もいますが、まずは地域のクリニックにある内分泌専門医や、甲状腺を専門に掲げている内科を訪れるのが良いでしょう。そこで詳しい検査が必要だと判断されれば、適切な紹介状を書いてもらうことができます。甲状腺疾患は一生付き合っていく場合もありますが、専門医のもとで正しく管理を続ければ、健康な人と変わらない生活を送ることが十分に可能です。身体の異変を老化やストレスのせいだと片付ける前に、一度専門の診療科で血液検査を受けることを強くお勧めします。
専門医に聞く甲状腺疾患の正しい受診先と検査内容