「まさか自分が」多くの大人がそう思ういちご舌は、実は私たちの体に隠された警告を語りかけていることがあります。子どもの病気として知られるいちご舌ですが、大人に発症した場合、その背景には見過ごせない健康問題が潜んでいる可能性があるのです。私の知り合いで、普段から健康には気を遣っていたはずの40代の男性が、ある日突然、舌にブツブツができて赤くなるいちご舌の症状に悩まされ始めました。最初は気のせいかと思ったそうですが、症状が続くため心配になり、病院で診てもらったところ、意外な事実が判明しました。彼の場合、原因は長年の喫煙と、それに伴うビタミンCの慢性的な不足でした。喫煙はビタミンCを大量に消費するため、知らず知らずのうちに体がビタミンC欠乏状態に陥っていたのです。ビタミンCは、体内の様々な組織の健康維持に不可欠であり、特に粘膜の保護や免疫機能の維持に重要な役割を果たします。この男性のように、いちご舌は特定の栄養素の不足を知らせるサインとして現れることがあります。大人のいちご舌が警告する病気としては、単なる栄養不足やストレスによるもの以外にも、いくつかの可能性が考えられます。例えば、シェーグレン症候群のような自己免疫疾患では、唾液腺の機能が低下し、口の中が乾燥しやすくなります。口が乾燥すると、舌の粘膜が炎症を起こしやすくなり、いちご舌の症状が現れることがあります。また、貧血、特に鉄欠乏性貧血も舌の異常を引き起こすことがあります。鉄は酸素を運ぶヘモグロビンの構成要素であり、不足すると全身の細胞に酸素が十分に供給されなくなります。舌の細胞も例外ではなく、酸素不足から炎症を起こしやすくなるのです。さらに、ごく稀なケースですが、特定の薬の副作用としていちご舌が現れることもあります。例えば、一部の抗生物質や降圧剤などが、口内環境に影響を与え、舌の炎症を引き起こす可能性があるとされています。もし、新しい薬を飲み始めてからいちご舌の症状が出た場合は、医師や薬剤師に相談することが重要です。