子供が水疱瘡を発症した際、保護者にとって最大の関心事の一つは、いつから学校や保育園に復帰できるのかという点です。これは単に保護者の都合の問題ではなく、社会全体の感染拡大を防ぐための非常に重要な法的・医学的基準に基づいています。学校保健安全法では、水疱瘡による出席停止期間について「すべての発疹が痂皮化するまで」とはっきりと定められています。ここで重要となるのは「すべて」という言葉の重みです。水疱瘡の発疹は、その経過において数日間にわたって次々と新しいものが出現し続けるため、お腹や背中が既にかさぶたになっていたとしても、足の裏や髪の毛の中に一つでもまだ水を含んだ透明な水疱、あるいは白っぽく濁った膿疱が残っていれば、それはまだ感染力を持っていることを意味します。この段階で登園を再開させてしまうと、クラス全体にウイルスをばらまくことになり、特に免疫のない子供や、重症化のリスクがある周囲の大人の生活を脅かすことになります。痂皮化、すなわちかさぶたになるという状態は、水疱が完全に乾燥し、表面が硬く茶褐色から黒っぽく変化した状態を指します。かさぶたは、言わばウイルスの死骸を閉じ込めた天然の絆創膏のようなものであり、この状態になって初めて、呼吸器や皮膚からのウイルス排出が止まったとみなされます。診断した医師は、全身をくまなくチェックし、耳の後ろ、脇の下、陰部、指の間といった見落としやすい部位まで確認した上で、ようやく治癒証明書を発行します。水疱瘡の経過は通常、発症から一週間程度でこの基準を満たしますが、大人の場合や重症化した場合は、二週間近くかかることも珍しくありません。また、かさぶたになった後も、皮膚にはしばらく赤みや斑点が残りますが、これはあくまで皮膚の修復過程であり、感染力とは無関係です。ただし、注意が必要なのは、水疱瘡は「発疹が出る一、二日前」から既に強い感染力を持っているという点です。つまり、発疹が出て出席停止になる頃には、既に周囲にウイルスを広げてしまっている可能性が高いのです。だからこそ、すべての発疹がかさぶたになるまでという基準を厳格に守ることは、後追いで発生する二次感染、三次感染の連鎖を断ち切るための、最低限の社会的マナーでもあります。保護者としては、仕事の調整などで焦る気持ちもあるでしょうが、水疱瘡の経過におけるこの停止期間を、子供の体がしっかりとウイルスを克服するための大切な休息時間として捉え、完治までのプロセスを丁寧に見守ることが求められます。