薬局のカウンターに立っていると、冬場に「しもやけが痒くて眠れない」と相談に来られる方が後を絶ちません。市販されている薬の中には、しもやけに特化したものから、一般的な湿疹・皮膚炎用まで多種多様なものがあり、ご自身の症状に合ったものを選ぶことが早期改善の鍵となります。まず、しもやけの基本治療として選ぶべきは、血行を改善する成分が含まれた塗り薬です。代表的なのはビタミンE(トコフェロール)を主成分としたもので、これは滞った血流を促進し、皮膚の代謝を高める働きがあります。ユベラなどの製品名で知られるこのタイプは、痒みが出る前の予防段階や、赤みが出始めた初期段階で非常に効果を発揮します。次に、すでに強い痒みがある場合に検討したいのが、クロタミトンなどの鎮痒成分や、メントールが含まれた製品です。これらは神経の興奮を鎮め、一時的に痒みを麻痺させてくれますが、あくまで対症療法であることを忘れてはいけません。もし、患部がひどく腫れ上がり、熱を持っていて夜も眠れないほどであれば、抗炎症作用のあるステロイド成分が含まれた軟膏を短期間使用することも選択肢に入ります。ただし、しもやけで皮膚が割れていたり、水ぶくれが破れてジュクジュクしていたりする場合は、ステロイド剤の使用には注意が必要です。そのような二次感染が疑われるケースでは、殺菌成分が含まれたものや、皮膚の再生を助けるアラントイン配合の軟膏を選び、速やかに医師の診察を受けることをお勧めします。また、塗り薬と併用して高い効果が期待できるのが、内服用のビタミン剤です。特にビタミンEの内服は、体の芯から血管を広げる助けとなり、塗り薬だけでは届かない深部の血流改善に寄与します。漢方薬では、当帰四逆加呉茱萸生姜湯のように、冷えによる痛みを和らげ、体を芯から温める処方がしもやけに頻用されます。私たち薬剤師は、患者さんのしもやけが「カサカサした乾燥型」なのか「腫れて熱を持った炎症型」なのか、あるいは「化膿を伴う重症型」なのかを判断し、最適な組み合わせを提案します。しもやけが痒いからといって、家にある古いかゆみ止めを適当に塗るのではなく、今の自分の皮膚の状態をよく観察し、専門家に相談することが、辛い痒みから解放される最短ルートなのです。お薬を塗る際は、ただ塗布するだけでなく、手のひらで温めてから優しく塗り込むようにすると、浸透が良くなり効果を実感しやすくなります。
薬剤師が教えるしもやけの痒みに効く市販薬の選び方