通院・薬・介護など日常の医療サポート情報

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  • 大人の手足口病。何科へ行きどう治す?

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    子供からうつったのか、あるいはどこかで感染したのか、原因はともあれ、大人が手足口病の症状に見舞われた時、そのつらさは想像を絶するものがあります。高熱、倦怠感、そして何より手足と喉の激痛。一刻も早くこの苦しみから解放されるためには、適切な医療機関を受診し、正しい対処法を知ることが重要です。まず、何科を受診すればよいのでしょうか。手足口病は、症状が全身にわたるため、迷うかもしれません。基本的には、まず「内科」を受診するのが一般的です。発熱や倦怠感といった全身症状を総合的に診てもらい、他の病気(インフルエンザなど)との鑑別を行ってもらえます。また、手のひらや足の裏の発疹が主な症状で、皮膚の状態を詳しく診てほしい場合は、「皮膚科」が良いでしょう。喉の痛みが特にひどく、口内炎の状態を専門的に診てほしい場合は、「耳鼻咽喉科」も選択肢となります。どの科を受診しても、手足口病の診断は比較的容易ですが、迷った場合は、まずはかかりつけの内科に相談するのがスムーズです。病院では、どのような治療が行われるのでしょうか。残念ながら、手足口病の原因であるエンテロウイルス属に直接効く「特効薬」は存在しません。そのため、治療は、つらい症状を和らげるための「対症療法」が中心となります。高熱や手足の強い痛みに対しては、「解熱鎮痛剤」(ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなど)が処方されます。喉の口内炎の痛みに対しては、炎症を抑えるスプレー薬や、粘膜を保護するうがい薬、あるいは痛みを和らげるための塗り薬などが処方されることもあります。しかし、治療の基本は、やはり「安静」と「水分補給」です。家庭でのセルフケアも非常に重要です。手足の痛みに対しては、保冷剤などで患部を冷やすと、痛みが少し和らぐことがあります。食事は、喉の痛みを刺激しないよう、おかゆやゼリー、プリン、冷たいスープなど、のどごしの良いものを選びましょう。そして、脱水を防ぐために、経口補水液やスポーツドリンクを、少量ずつこまめに摂取することを、何よりも優先してください。医療機関での対症療法と、自宅での丁寧なセルフケア。この二つを組み合わせることで、つらい治療期間を乗り切っていきましょう。

  • 頬の赤みとかゆみ。アトピー性皮膚炎の可能性

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    子供の頬が赤くなっているだけでなく、カサカサと乾燥し、強いかゆみを伴っている場合、それは単なる乾燥による肌荒れではなく、「アトピー性皮膚炎」のサインかもしれません。アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹を主な症状とする皮膚の病気で、多くは乳幼児期に発症します。その原因は、まだ完全には解明されていませんが、アレルギーを起こしやすい体質(アトピー素因)と、皮膚のバリア機能の低下が、複雑に絡み合って発症すると考えられています。アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに最初に症状が現れやすい場所の一つが、「頬」や「口の周り」です。最初は、カサカサとした乾燥や、軽い赤みから始まります。しかし、かゆみが強いため、赤ちゃんは手でこすったり、寝具に顔をこすりつけたりして、掻き壊してしまいます。その結果、皮膚のバリア機能はさらに低下し、炎症が悪化。ジュクジュクとした浸出液が出たり、かさぶたができたりと、湿疹がどんどん悪化していくという悪循環に陥ります。頬だけでなく、おでこや頭、耳の周り、そして成長と共に、首や肘の内側、膝の裏側といった、関節の屈曲部に湿疹が広がっていくのも、アトピー性皮膚炎の特徴です。では、アトピー性皮膚炎が疑われたら、どうすればよいのでしょうか。まずは、自己判断で市販の薬を塗ったりせず、「小児科」または「皮膚科」を受診することが重要です。医師は、湿疹の状態や分布、家族のアレルギー歴などを総合的に判断して診断を下します。治療の基本は、三つの柱からなります。一つ目は、炎症を抑えるための「薬物療法」です。炎症の強さに応じて、ステロイド外用薬や、非ステロイド系の抗炎症薬、免疫抑制外用薬などが処方されます。医師の指示通りに、適切な量を、適切な期間使用することが、副作用を避け、効果的に炎症を抑えるための鍵です。二つ目は、低下した皮膚のバリア機能を補うための、徹底した「スキンケア(保湿)」です。薬を塗るだけでなく、一日数回、保湿剤を全身に塗ることで、乾燥を防ぎ、皮膚を刺激から守ります。三つ目は、皮膚の状態を悪化させる「悪化因子の検索と対策」です。汗や乾燥、食物アレルギー、ダニやホコリといった環境アレルゲンなど、その子にとっての悪化因子を見つけ出し、可能な限り避ける努力をします。

  • ある日突然地獄が。私の手足口病闘病記

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    先週まで、私は手足口病を完全に侮っていました。「子供がかかる、ちょっと発疹が出る夏風邪でしょ?」と。一週間前、保育園に通う息子が手足口病と診断されました。手のひらと足の裏にポツポツと発疹は出たものの、熱もなく、本人は至って元気。そんな姿を見ていたので、まさか自分がその数日後、地獄を味わうことになるとは夢にも思っていませんでした。始まりは、水曜の夜の悪寒でした。急に体中の節々が痛み出し、熱を測ると39度。インフルエンザかと思い、翌朝、内科を受診しました。しかし、検査は陰性。「夏風邪でしょう」と解熱剤を処方され、帰宅しました。その日の午後から、異変は本格化しました。ふと手のひらを見ると、見覚えのある赤い斑点が。足の裏、そして足の甲にも、それは瞬く間に広がっていきました。そして、夜には、それらが耐え難い痛みに変わったのです。足の裏は、まるで無数の針が突き刺さっているようで、一歩も歩けません。トイレに行くにも、四つん這いになって進むしかありませんでした。手のひらの痛みもひどく、スマートフォンの重ささえ苦痛でした。そして、喉の痛み。口の中は口内炎だらけで、水を含むだけで激痛が走り、食事はゼリー飲料を流し込むのがやっと。高熱と全身の痛み、そして眠れないほどの喉と手足の激痛。あまりのつらさに、情けなくも涙が出ました。金曜日に、皮膚科を再受診し、ようやく「大人の手足口病」という確定診断が下りました。特効薬はなく、ただひたすら痛み止めを飲み、嵐が過ぎるのを待つしかないとのこと。結局、痛みのピークは三日三晩続きました。週末を完全に寝たきりで過ごし、週が明けて、ようやく少しずつ痛みが和らいできた時には、心身ともに疲れ果てていました。子供の病気だと甘く見ていた自分を、心から殴ってやりたいです。もし、あなたの周りで大人が手足口病にかかったら、どうか「大変だね」と、その苦しみを理解してあげてください。それは、決して大げさではないのですから。

  • マイコプラズマ肺炎の診断。なぜ時間がかかることがあるのか

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    「咳と熱が長引いて、病院に行ったのに、すぐにはマイコプラズマ肺炎と診断されなかった」。そんな経験を持つ方もいるかもしれません。マイコプラズマ肺炎は、その診断がつくまでに、ある程度の時間が必要となることがあります。その理由は、この病気が持つ特徴と、診断に用いられる検査方法の特性にあります。まず、初期症状が、他の多くの呼吸器感染症、特に風邪や気管支炎と非常に似ていることが、診断を難しくする第一の要因です。乾いた咳や発熱、倦怠感といった症状だけでは、医師も最初は一般的な風邪症候群として対応することが多いのです。しかし、数日経っても症状が改善しない、あるいは咳が悪化していく、といった典型的な経過をたどることで、初めてマイコプラズマ肺炎の可能性が強く疑われ始めます。診断を確定させるためには、いくつかの検査が行われます。胸部レントゲン検査では、肺炎に特徴的な「淡いすりガラス状の影」が見られることがありますが、初期には変化が乏しいことも少なくありません。最も確実な診断法の一つが、血液検査でマイコプラズマに対する「抗体価」を測定する方法です。私たちの体は、マイコプラズマに感染すると、それに対抗するための抗体を作り出します。この抗体の量を測定することで、感染の有無を判断するのです。しかし、この抗体は、感染後すぐには上昇しません。感染初期(急性期)と、その2〜4週間後の回復期に、二度にわたって採血を行い、その間に抗体価が4倍以上に上昇していることを確認する「ペア血清」という方法が、最も信頼性の高い診断基準とされています。つまり、確定診断がつくまでには、数週間の時間が必要になるのです。もちろん、もっと迅速に診断するための検査もあります。喉の粘膜をこすって、マイコプラズマの遺伝子(DNA)を検出する「LAMP法」や、血液中の抗体の一種(IgM抗体)を測定する方法は、比較的早期に結果が出ます。しかし、これらの迅速検査も、常に100%正確というわけではありません。このような理由から、医師は、症状の経過、診察所見、そして各種検査の結果を、時間をかけて総合的に判断し、診断を下していくのです。治療は、確定診断を待たずに、疑いが強い段階で開始されることがほとんどです。

  • 線維筋痛症と間違われやすい他の病気

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    全身の広範囲にわたる痛みと、原因不明の倦怠感。線維筋痛症のこれらの症状は、非常に漠然としているため、他の様々な病気と症状が重なり、しばしば診断が困難になります。専門医は、線維筋痛症の診断を下す前に、これらの「似て非なる病気」の可能性を一つひとつ、慎重に除外していく必要があります。患者さん自身も、どのような病気が鑑別の対象となるのかを知っておくことは、病気の理解を深める上で役立ちます。まず、最も重要な鑑別疾患が「関節リウマチ」です。関節リウマチも、全身の関節に痛みやこわばりを引き起こしますが、最大の違いは「関節の腫れ(滑膜炎)」があることです。血液検査でリウマトイド因子や抗CCP抗体が陽性となり、レントゲンや関節エコーで関節破壊の所見が見られるのが特徴です。線維筋痛症では、関節は痛くても、客観的な腫れや破壊は見られません。ただし、関節リウマチに線維筋痛症が合併することも少なくありません。次に、「多発性筋炎・皮膚筋炎」という膠原病も鑑別の対象となります。これは、筋肉そのものに炎症が起こる病気で、全身の筋力低下や筋肉痛が主な症状です。血液検査で、筋肉から漏れ出す酵素(CKなど)の著しい上昇が見られることで区別されます。また、甲状腺ホルモンの分泌が低下する「甲状腺機能低下症」も、全身の倦怠感や筋肉痛、気分の落ち込みといった、線維筋痛症とよく似た症状を引き起こします。これは、簡単な血液検査で甲状腺ホルモンの値を調べることで、容易に診断できます。慢性的な疲労感が主症状である「慢性疲労症候群」も、線維筋痛症と症状が非常に似ており、両者を合併しているケースも多いとされています。両者の区別は専門医でも難しい場合があります。さらに、ビタミンDの欠乏が、広範囲の骨や筋肉の痛みを引き起こすことも知られています。これも血液検査で確認することができます。その他、うつ病や、様々な神経系の疾患も、全身の痛みを引き起こすことがあります。このように、線維筋痛症の診断は、まるで探偵が証拠を集めていく作業に似ています。様々な可能性を検討し、一つずつ消去していく。この丁寧なプロセスを経て、初めて「線維筋痛症」という診断にたどり着くことができるのです。

  • 不安が尿意を呼ぶ?心因性頻尿との付き合い方

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    「大事な会議の前になると、必ずトイレに行きたくなる」「電車やバスに乗る前は、トイレに行っておかないと不安でたまらない」。特定の状況下で、急に、そして何度もトイレに行きたくなる。しかし、いざトイレに行っても、尿は少ししか出ない。このような症状に心当たりがあるなら、それは「心因性頻尿」かもしれません。心因性頻尿は、膀胱や尿道に器質的な異常がないにもかかわらず、心理的なストレスや不安が原因で、頻尿の症状が現れる状態です。私たちの排尿のメカニズムは、自律神経によってコントロールされています。強い不安や緊張を感じると、体を活動モードにする交感神経が活発になります。この交感神経の働きが、膀胱の筋肉に影響を与え、まだ尿が十分に溜まっていなくても、尿意を感じさせてしまうのです。さらに、このメカニズムには、「予期不安」という心理が、悪循環を生み出す大きな要因となります。一度、大事な場面でトイレに行きたくなって困った、という経験をすると、「また同じことになったらどうしよう」という強い不安が生まれます。この不安が、実際に次の尿意を引き起こし、そして、また「やっぱりダメだった」という失敗体験が、さらに次の不安を強めていく。この「不安→尿意→失敗体験→さらに強い不安」という負のスパイラルに陥ってしまうのが、心因性頻尿のつらいところです。この状態と上手に付き合っていくためには、どうすればよいのでしょうか。まず、大切なのは、「これは病気ではなく、誰にでも起こりうる、心の反応なのだ」と、過度に深刻に捉えすぎないことです。そして、泌尿器科を受診し、過活動膀胱など、他の身体的な病気がないことを確認してもらうと、大きな安心材料になります。その上で、いくつかの対処法を試してみましょう。一つは、「行動療法」です。例えば、「膀胱訓練」として、尿意を感じてもすぐにトイレに行かず、5分、10分と、少しずつ我慢する時間を延ばしていく練習をします。これにより、「自分は我慢できる」という成功体験を積み重ね、自信を取り戻していきます。また、深呼吸や、筋肉の緊張を意識的に緩める「筋弛緩法」、あるいは好きな音楽を聴くなど、自分なりの「リラクゼーション法」を見つけ、不安を感じた時に実践するのも有効です。

  • その肩こり、もしかして病気のサイン?

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    多くの人が経験する肩こりですが、そのほとんどは、長時間の同じ姿勢や運動不足による筋肉の疲労や血行不良が原因です。しかし、中には、単なる「こり」では済まされない、危険な病気が隠れているサインとしての肩こりも存在します。いつもの肩こりだと思い込んで放置していると、命に関わる事態に繋がりかねないケースもあるのです。いつもの肩こりとは違う、「危険な肩こり」を見分けるためのポイントを知っておきましょう。まず、整形外科領域の病気として注意が必要なのが、「頸椎椎間板ヘルニア」や「頸椎症」です。これらは、首の骨(頸椎)の変形や、骨と骨の間にあるクッション(椎間板)が飛び出すことで、腕へ行く神経が圧迫される病気です。この場合、肩こりに加えて、「腕や手のしびれ、痛み」「指先の感覚が鈍い」「手に力が入りにくい」といった、神経症状を伴うのが大きな特徴です。安静にしていても症状が改善しない場合は、整形外科での精密検査が必要です。次に、内科的な病気が原因で起こる肩こりです。特に注意したいのが「心臓の病気」、具体的には「狭心症」や「心筋梗塞」です。心臓への血流が悪くなることで起こる痛みが、肩や背中、顎の痛み(放散痛)として感じられることがあります。特に、左肩に集中する痛みや、階段を上るなど、体を動かした時に胸の圧迫感と共に肩が痛む場合は、危険なサインです。このような症状があれば、迷わず「循環器内科」を受診してください。また、高血圧も、首の後ろから肩にかけての張りや、頭痛を伴う肩こりの原因となることがあります。さらに、胆石や胆のう炎、膵炎といった「消化器の病気」でも、右肩に痛みが放散することが知られています。吐き気や腹痛を伴う場合は、「消化器内科」への相談が必要です。その他にも、うつ病などの「精神的なストレス」が、自律神経の乱れを通じて、筋肉の緊張を引き起こし、頑固な肩こりの原因となることもあります。「いつものこと」と片付けずに、肩こり以外の症状に目を向けること。それが、隠れた病気を見逃さないための重要な視点となります。

  • 女性に多い肩こり。婦人科やホルモンとの関係

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    肩こりは、男性よりも女性に多い悩みと言われています。その背景には、女性特有の体のつくりや、ライフステージにおけるホルモンバランスの変化が、深く関わっていると考えられています。一般的な肩こりの原因に加えて、女性ならではの視点を持つことが、つらい症状の解決のヒントになるかもしれません。まず、身体的な特徴として、女性は男性に比べて、首や肩周りの筋肉量が少なく、華奢なつくりをしています。それにもかかわらず、比較的重い頭(体重の約10%)を支えなければならないため、筋肉にかかる負担が大きく、疲労が蓄積しやすいのです。また、女性はバストの重みで、知らず知らずのうちに猫背になりがちです。この姿勢の悪さが、首や肩へのさらなる負担となり、肩こりを助長します。次に、見逃せないのが「女性ホルモン」の影響です。女性の体は、月経、妊娠、出産、そして更年期といった、ライフステージを通じて、女性ホルモン(特にエストロゲン)の分泌量がダイナミックに変動します。エストロゲンには、血管を拡張させ、血行を良くする働きがあります。そのため、エストロゲンの分泌量が減少する時期、例えば月経前や、特に更年期には、血行が悪化しやすくなり、肩こりをはじめとする体の様々な不調が現れやすくなるのです。更年期に、のぼせやほてり、イライラといった症状と共に、肩こりがひどくなった、という方は、このホルモンバランスの乱れが原因である可能性が高いでしょう。こうした女性特有の要因が関わる肩こりの場合、整形外科での治療と並行して、「婦人科」への相談が有効なことがあります。月経前の不調(PMS)が強い場合は、低用量ピルや漢方薬で症状が緩和されることもあります。また、更年期障害による肩こりに対しては、「ホルモン補充療法(HRT)」や、漢方薬、プラセンタ注射などが、著しい効果を示すことがあります。婦人科医は、女性の体をホルモンの観点から総合的に診る専門家です。もし、あなたの肩こりが、月経周期や、更年期といった、女性ならではのリズムと連動しているように感じるなら、一度、婦人科の扉を叩いてみるのも、症状改善への新たな道を開くきっかけになるかもしれません。

  • 子供からうつる?大人の手足口病感染対策

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    夏の保育園や幼稚園で、手足口病の流行が始まると、小さなお子さんを持つ親御さんは、我が子の心配と同時に、「自分にもうつるのではないか」という不安を感じるかもしれません。その不安は、残念ながら的を射ています。大人の手足口病の感染経路として、最も多いのが「子供からの家庭内感染」だからです。子供は回復したのに、今度はお父さんやお母さんがダウンしてしまう、というケースは後を絶ちません。しかし、感染経路と正しい対策を知っておけば、そのリスクを大幅に減らすことは可能です。手足口病の原因となるウイルスは、主に「飛沫感染」と「接触感染」によって広がります。そして、ウイルスは、感染者の咳やくしゃみなどの気道分泌物だけでなく、「便」の中にも大量に排出される、という非常にやっかいな特徴を持っています。特に、症状が治まった後も、数週間にわたって便からのウイルス排出が続くため、注意が必要です。家庭内での感染を防ぐための最大のポイントは、「オムツ交換後の徹底した手洗い」です。症状のない子供の便にもウイルスは含まれています。オムツを処理した後は、必ず石鹸と流水で、指の間や手首まで、30秒以上かけて丁寧に手を洗いましょう。アルコール消毒も有効ですが、ウイルスの種類によっては効果が低い場合もあるため、基本は流水での手洗いが最も確実です。次に、一般的な感染対策である「マスクの着用」と「タオルの共用を避ける」ことです。子供が咳をしている場合はもちろん、看病する大人もマスクをすることで、飛沫感染のリスクを減らせます。また、ウイルスが付着したタオルを介して感染することもあるため、手拭き用タオルなどは、家族間で別々のものを使用するのが賢明です。もし、大人が感染してしまった場合は、今度は自分が感染源にならないための配慮が必要です。咳などの症状がある場合は、職場や家庭内でマスクを着用しましょう。また、体調が許す限り、子供との過度な接触は避け、食器の共用などにも気を配りたいところです。基本的なことばかりですが、この「手洗い」と「マスク」という二つの壁を徹底することが、家庭内での感染拡大を防ぎ、大人の手足口病というつらい経験を回避するための、最も効果的な防御策となるのです。

  • 家族にうつる?マイコプラズマ肺炎の感染対策

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    自分や家族の誰かがマイコプラズマ肺炎と診断された時、心配になるのが「他の家族にうつってしまうのではないか」ということでしょう。特に、家庭内に小さな子供や高齢者、持病のある方がいる場合は、その心配はなおさらです。マイコプラズマ肺炎は、人から人へとうつる感染症ですが、その感染力や感染経路の特性を正しく理解し、適切な対策を講じることで、家庭内での感染拡大のリスクを最小限に抑えることが可能です。マイコプラズマの主な感染経路は、咳やくしゃみなどで飛び散る飛沫に含まれる病原体を吸い込む「飛沫感染」です。ただし、その感染力はインフルエンザウイルスほど強力ではなく、一度の短い接触ですぐに感染するというよりは、家庭内や学校、職場といった、比較的閉鎖された空間で、長時間にわたって濃厚な接触をすることで感染が成立しやすい、という特徴があります。潜伏期間が2〜3週間と長いのも特徴で、いつどこで感染したのかを特定するのは困難です。家庭内で感染を防ぐために、まず患者さん本人が心がけるべきことは、「咳エチケット」の徹底です。咳やくしゃみをする際は、ティッシュや腕の内側で口と鼻を覆い、飛沫が周囲に飛び散らないようにします。そして、最も重要なのが「マスクの着用」です。咳の症状が続いている間は、家の中でもマスクをして過ごすことが、家族への感染を防ぐ上で非常に効果的です。また、周りの家族ができる対策としては、「手洗い・うがい」の励行が基本です。患者さんが咳を手で押さえた後、その手で触れたドアノブやリモコンなどから、接触感染が広がる可能性もあります。帰宅時や食事の前には、石鹸と流水で丁寧に手を洗いましょう。部屋の「換気」も重要です。一日に数回、窓を開けて空気の入れ替えを行い、室内に浮遊するかもしれない病原体の密度を下げましょう。加湿器で部屋の湿度を適切に保つことも、喉の粘膜の防御機能を高める上で有効です。食器やタオルの共用は、念のため避けた方がより安心ですが、通常の洗濯や食器洗い用洗剤で、病原体は十分に洗い流せます。過度に神経質になる必要はありませんが、これらの基本的な対策を家族全員で協力して行うことが、お互いを守ることに繋がります。