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2025年8月
  • 自分でできる頻尿対策。膀胱訓練と骨盤底筋体操

    医療

    頻繁な尿意に悩まされているけれど、病院に行くほどではない、あるいは薬には頼りたくない。そう考える方にとって、自分自身で取り組めるセルフケアは、症状改善のための大きな武器となります。特に、「膀胱訓練」と「骨盤底筋体操」は、過活動膀胱などの頻尿治療においても、基本となる重要なアプローチです。まず、「膀胱訓練」とは、その名の通り、膀胱をトレーニングし、尿を溜める能力を高めていく方法です。尿意を感じるたびにすぐにトイレに行っていると、膀胱が少ない尿量に慣れてしまい、ますます頻尿が悪化するという悪循環に陥ります。このサイクルを断ち切るために、尿意を感じても、すぐにトイレには行かず、少しだけ我慢する習慣をつけるのです。最初は、5分だけ我慢してみる、ということから始めます。それができたら、次は10分、15分と、徐々に我慢する時間を延ばしていきます。最終的な目標は、排尿間隔を2〜3時間程度にまで広げることです。もちろん、無理は禁物です。我慢できないほどの強い尿意の時は、トイレに行っても構いません。大切なのは、「少し我慢できた」という成功体験を積み重ね、「膀胱は、自分が思っているよりも、ちゃんと尿を溜められるんだ」という自信を取り戻すことです。この訓練を続けることで、膀胱が適切な尿量を溜めることに慣れていき、頻尿が改善していきます。次に、「骨盤底筋体操」です。骨盤底筋とは、骨盤の底にハンモックのように広がり、膀胱や子宮、直腸などを支えている筋肉群です。この筋肉は、尿道を締めて尿漏れを防ぐ、という重要な役割も担っています。しかし、加齢や出産などによって、この筋肉が緩んでしまうと、尿意切迫感や尿漏れの原因となります。この骨盤底筋を、意識的に鍛えるのが骨盤底筋体操です。やり方は、まず、仰向けに寝て、両膝を軽く立てます。そして、肛門と膣、尿道を、きゅーっと締めるような感覚で、力を入れます。この時、お腹やお尻の筋肉に力が入らないように、骨盤の底だけを意識するのがポイントです。数秒間締めたら、ゆっくりと力を抜きます。この「締めて、緩める」という運動を、10回程度を1セットとして、一日に数回、継続して行います。この二つのセルフケアは、すぐに効果が出るものではありません。しかし、数週間から数ヶ月、根気よく続けることで、多くの人が症状の改善を実感しています。

  • 歩けないほどの激痛。大人の手足口病の症状

    医療

    大人の手足口病を経験した人の多くが、口を揃えてこう言います。「あの痛みは、人生で経験した痛みの中でも三本の指に入る」と。子供の病気という穏やかなイメージとは裏腹に、大人がかかる手足口病は、「激痛」との壮絶な戦いになることを覚悟しなければなりません。その痛みの主戦場は、主に「手足」と「喉」です。まず、手足の発疹です。手のひらや指、足の裏、足の甲などに、赤い斑点から始まる水疱性の発疹が多数出現します。子供の発疹と見た目は似ていますが、その性質は全く異なります。一つひとつの発疹が、まるで神経に直接触れるかのように、ズキズキ、ジンジンと痛むのです。特に、体重がかかる足の裏の痛みは強烈で、「靴の中に画鋲を敷き詰めて歩いているよう」「熱した砂利の上を裸足で歩いているみたい」などと表現されます。歩くことはおろか、ただ立っているだけで激痛が走り、トイレに行くことさえ困難になるほどです。靴下が触れるだけで痛みが走るため、外出もままなりません。手のひらの痛みも深刻で、物をつかむ、ドアノブを回す、スマートフォンの画面をタップするといった、日常の何気ない動作一つひとつが苦痛になります。次に、喉の痛みです。舌や頬の内側、喉の奥にできる多数の口内炎は、食事の時間を地獄に変えます。食べ物がしみる痛みはもちろん、唾を飲み込むことさえ、ためらわれるほどの激痛です。水分補給すら困難になり、脱水症状に陥る危険性もあります。これらの局所的な激痛に加えて、38度以上の高熱や、体中の節々が痛む関節痛、そして鉛のような全身の倦怠感が、数日間にわたって続きます。この多方面からの痛みの攻撃によって、心身ともに疲弊しきってしまうのです。大人の手足口病は、根性で乗り切れるものではありません。痛みがひどい場合は我慢せず、医療機関で痛み止めなどを処方してもらい、少しでも苦痛を和らげながら、嵐が過ぎ去るのを待つしかないのです。