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2025年8月
  • 歩けないほどの激痛。大人の手足口病の症状

    医療

    大人の手足口病を経験した人の多くが、口を揃えてこう言います。「あの痛みは、人生で経験した痛みの中でも三本の指に入る」と。子供の病気という穏やかなイメージとは裏腹に、大人がかかる手足口病は、「激痛」との壮絶な戦いになることを覚悟しなければなりません。その痛みの主戦場は、主に「手足」と「喉」です。まず、手足の発疹です。手のひらや指、足の裏、足の甲などに、赤い斑点から始まる水疱性の発疹が多数出現します。子供の発疹と見た目は似ていますが、その性質は全く異なります。一つひとつの発疹が、まるで神経に直接触れるかのように、ズキズキ、ジンジンと痛むのです。特に、体重がかかる足の裏の痛みは強烈で、「靴の中に画鋲を敷き詰めて歩いているよう」「熱した砂利の上を裸足で歩いているみたい」などと表現されます。歩くことはおろか、ただ立っているだけで激痛が走り、トイレに行くことさえ困難になるほどです。靴下が触れるだけで痛みが走るため、外出もままなりません。手のひらの痛みも深刻で、物をつかむ、ドアノブを回す、スマートフォンの画面をタップするといった、日常の何気ない動作一つひとつが苦痛になります。次に、喉の痛みです。舌や頬の内側、喉の奥にできる多数の口内炎は、食事の時間を地獄に変えます。食べ物がしみる痛みはもちろん、唾を飲み込むことさえ、ためらわれるほどの激痛です。水分補給すら困難になり、脱水症状に陥る危険性もあります。これらの局所的な激痛に加えて、38度以上の高熱や、体中の節々が痛む関節痛、そして鉛のような全身の倦怠感が、数日間にわたって続きます。この多方面からの痛みの攻撃によって、心身ともに疲弊しきってしまうのです。大人の手足口病は、根性で乗り切れるものではありません。痛みがひどい場合は我慢せず、医療機関で痛み止めなどを処方してもらい、少しでも苦痛を和らげながら、嵐が過ぎ去るのを待つしかないのです。