子供の頬が赤くなっていると、親はすぐに「病気かしら?」と心配になりがちです。しかし、熱もなく、かゆみや湿疹もなく、子供自身は至って元気な場合、その赤みは、病気とは関係のない、ごく日常的な生理現象であることがほとんどです。心配しすぎる前に、どのようなシーンで子供の頬が赤くなりやすいのかを知っておくと、冷静に様子を見ることができます。まず、最も一般的なのが「体温調節」に伴う赤みです。子供は、大人に比べて新陳代謝が活発で、平熱も高めです。そのため、少し体を動かしただけで、体温が上がりやすくなります。運動したり、興奮してはしゃいだり、あるいは大泣きしたりすると、体内の熱を放出しようとして、顔、特に皮膚の薄い頬の血管が拡張し、血流が増加します。その結果、頬が真っ赤になるのです。これは、体が正常に体温調節を行っている証拠であり、全く心配のいらない生理的な反応です。また、「寒暖差」も、頬の赤みの大きな原因となります。寒い冬の日に、冷たい屋外から、暖房の効いた暖かい室内に入った時、多くの子供の頬は、まるでリンゴのように赤くなります。これは、寒さで収縮していた血管が、暖かい環境で急激に拡張するために起こる現象です。これも、一過性のものであり、しばらくすれば自然に元の色に戻ります。さらに、乳児期によく見られるのが、「睡眠中の赤み」です。赤ちゃんがぐっすりと眠っている時、体が温まり、血行が良くなるため、頬が赤くなることがあります。特に、うつ伏せや横向きで寝ていて、片方の頬だけが布団に圧迫されて赤くなっている、というケースもよくあります。これも、起きてしばらくすれば消えてしまう一時的なものです。その他にも、食事中に体が温まって赤くなることや、歯が生え始める時期に、歯ぐずりと共に頬がほてって赤くなることもあります。重要なのは、赤み以外の症状がなく、子供の機嫌が良く、食欲もいつもと変わらないかどうかを観察することです。もし、これらの条件を満たしているのであれば、その頬の赤みは、子供が元気に生きている証拠。温かい目で見守ってあげましょう。