つらい肩こりに耐えかねて、意を決して整形外科などの病院を受診した場合、具体的にどのような治療が行われるのでしょうか。病院での治療は、その場の痛みを和らげる対症療法と、根本的な原因にアプローチする原因療法を組み合わせて行われるのが一般的です。まず、痛みが強い場合には、症状を緩和するための「薬物療法」が行われます。最も一般的に処方されるのが、「非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)」です。炎症を抑え、痛みを和らげる効果があり、飲み薬だけでなく、湿布や塗り薬といった外用薬もよく用いられます。外用薬は、直接患部に作用するため、全身への副作用が少なく、気軽に使用できるのがメリットです。また、筋肉の過度な緊張が原因である場合には、筋肉のこわばりを和らげる「筋弛緩薬」が処方されることもあります。次に、薬物療法と並行して行われるのが「物理療法」です。これは、電気や温熱、牽引といった物理的なエネルギーを利用して、痛みの緩和や血行の改善を図る治療法です。代表的なものに、首をゆっくりと引っ張ることで、頸椎の間隔を広げ、神経への圧迫を和らげる「頸椎牽引療法」や、低周波や干渉波といった電気刺激を筋肉に与えることで、血行を促進し、痛みを和らげる「電気治療」、ホットパックなどで患部を温める「温熱療法」などがあります。これらの物理療法は、リハビリテーション室などで、理学療法士の指導のもとに行われます。さらに、痛みが局所的で、特に強い場合には、「ブロック注射」という選択肢もあります。これは、痛みの原因となっている神経の近くや、筋肉の硬結(トリガーポイント)に、局所麻酔薬やステロイド薬を直接注射することで、痛みの伝達をブロックし、強力に症状を抑える治療法です。ペインクリニックなどで専門的に行われることが多いです。そして、これらの治療と並行して、最も重要となるのが「運動療法(リハビリテーション)」です。理学療法士などの専門家が、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、ストレッチや筋力トレーニングの方法を指導します。正しい姿勢の取り方や、日常生活での注意点についてのアドバイスも行われます。病院での治療は、単に薬をもらったり、機械にかかったりするだけでなく、自分自身の体と向き合い、生活習慣を改善していくきっかけを与えてくれる場所でもあるのです。
肩こりの治療。病院で行われることとは