しつこく続く乾いた咳、なかなか下がらない熱、そして全身の倦怠感。風邪だと思っていたのに、症状が一向に改善しない。そんな時、もしかしたらそれは「マイコプラズマ肺炎」かもしれません。マイコプラズマ肺炎は、一般的な細菌とは異なる「マイコプラズマ」という微生物によって引き起こされる肺炎で、特に子供や若い世代に多く見られますが、もちろん大人も感染します。この病気と診断された時、多くの人が気になるのが、「治療にはどのくらいの期間がかかるのか」「仕事はいつから復帰できるのか」といった点でしょう。大人のマイコGプラズマ肺炎の治療期間は、その重症度や治療開始のタイミングによって異なりますが、一般的に、適切な抗菌薬(抗生物質)による治療を開始すれば、症状そのものは比較的速やかに改善に向かいます。抗菌薬を飲み始めてから2〜3日もすれば、高かった熱は下がり始め、体のだるさも軽減してくることが多いです。しかし、ここで注意が必要なのが、症状が楽になったからといって、病気が完全に治ったわけではない、ということです。マイコプラズマ肺炎の大きな特徴の一つに、「咳」が非常にしつこく残ることが挙げられます。熱が下がり、体は元気になったように感じても、空咳や、痰の絡んだ咳だけが、数週間にわたって続くことは決して珍しくありません。この長引く咳は、マイコプラズマによって気道の粘膜が傷つき、過敏になっているために起こります。治療の全体像としては、まず抗菌薬を医師の指示通り、7日から14日間程度、最後までしっかりと飲み切ることが絶対条件です。これにより、体内のマイコプラズマを完全に除去し、再燃や耐性菌の出現を防ぎます。そして、その後も続く咳に対しては、咳止めや去痰薬といった対症療法を行いながら、気道の粘膜が自然に修復されるのを待つ、という流れになります。つまり、熱などの急性の症状が治まるのに数日、原因菌を叩くのに1〜2週間、そして後遺症とも言える咳が完全に治まるまでには、トータルで3週間から1ヶ月、あるいはそれ以上かかることもある、と理解しておくことが大切です。