日本人の多くが悩まされている国民病ともいえる「肩こり」。デスクワークやスマートフォンの長時間利用で、首から肩、背中にかけてガチガチに固まり、重だるさや痛みに悩んでいる方は少なくないでしょう。マッサージや整体に通っても、その場しのぎで、すぐに症状がぶり返す。そんな時、「一度、病院でちゃんと診てもらった方がいいのかもしれない」と思いつつも、「たかが肩こりで病院なんて」「もし行くなら、何科が正解なの?」と、受診をためらってしまうことが多いのではないでしょうか。結論から言うと、一般的な肩こりで、まず最初に受診すべき診療科は「整形外科」です。整形外科は、骨、関節、筋肉、靭帯、神経といった、体を動かすための器官「運動器」の専門家です。多くの肩こりは、首や肩周りの筋肉の血行不良や、姿勢の悪さ、あるいは首の骨(頸椎)の問題によって引き起こされます。整形外科では、問診で生活習慣などを詳しく聞き取り、医師が直接、首や肩の動き、筋肉の緊張度合いなどを診察します。そして、診断を確定させるために「レントゲン(X線)検査」を行うのが一般的です。レントゲン検査では、頸椎の変形や、骨と骨の間隔が狭くなっていないか、いわゆるストレートネックの状態になっていないかなどを確認することができます。これらの所見から、肩こりの原因が、骨格や筋肉といった運動器の問題に起因するものであれば、整形外科医は、湿布や塗り薬、筋弛緩薬といった薬物療法や、牽引療法、電気治療、温熱療法といった物理療法、そしてリハビリテーション科と連携した運動療法の指導など、医学的根拠に基づいた適切な治療を提供してくれます。もちろん、肩こりの原因は様々で、整形外科以外の病気が隠れていることもあります。しかし、まずは運動器の専門家である整形外科で、骨や筋肉に異常がないかをきちんと調べてもらうこと。それが、つらい肩こりの原因を特定し、正しい治療への道筋をつけるための、最も確実な第一歩となるのです。
つらい肩こり。一体、何科へ行けばいいのか?