マイコプラズマ肺炎と診断され、治療を開始した社会人にとって、治療期間と共に気になるのが「いつから仕事に復帰できるのか」という点でしょう。自分の体調はもちろん、職場への感染のリスクも考慮しなければならず、その判断は意外と難しいものです。仕事復帰のタイミングを考える上で、基準となるポイントは二つあります。一つは「自身の全身状態」、もう一つは「他者への感染力」です。まず、大前提となるのが、本人の体調が仕事に耐えうるレベルまで回復しているか、という点です。マイコプラズマ肺炎は、高熱や全身の倦怠感を伴うことが多く、体力をかなり消耗します。仕事に復帰する目安としては、少なくとも「解熱後、丸一日(24時間)以上が経過し、平熱が安定していること」が望ましいでしょう。また、食事がある程度普通に摂れ、日常生活を送る上での倦怠感がなくなっていることも重要です。たとえ熱が下がっても、体がだるく、集中力が散漫な状態では、仕事のパフォーマンスも上がらず、かえって回復を遅らせてしまう可能性があります。次に、周囲への感染リスクです。マイコプラズマは、咳やくしゃみによる飛沫感染で人から人へとうつります。その感染力は、インフルエンザほど強くはありませんが、家庭内や職場、学校といった閉鎖された空間で、長時間接触することで感染が広がりやすいという特徴があります。一般的に、有効な抗菌薬の服用を開始してから48時間程度経てば、菌の排出量は大きく減少し、感染力はかなり低下すると考えられています。しかし、咳の症状はその後も長く続くため、感染リスクが完全にゼロになるわけではありません。これらの点を総合的に考慮すると、仕事復帰の現実的なタイミングとしては、「解熱して全身状態が改善し、かつ抗菌薬を服用し始めてから、少なくとも2〜3日が経過してから」が一つの目安となります。そして、復帰後も、咳が続いている間は、職場での「マスクの着用」を徹底することが、周囲への配慮として非常に重要です。咳エチケットを守り、手洗いをこまめに行うことも忘れてはいけません。最終的な判断は、主治医と相談の上、職場の就業規則なども確認しながら、無理のない範囲で決定するようにしましょう。
大人のマイコプラズマ肺炎。仕事復帰のタイミングは?