「飲んだらすぐトイレに行きたくなる」という悩み。その原因は、カフェインやアルコールの利尿作用、あるいは体の冷えといった、日常生活に起因するものが多いですが、中には、何らかの病気が隠れているサインである可能性もあります。頻尿の原因は多岐にわたるため、他の症状と合わせて、どの診療科を受診すべきかを考えることが大切です。まず、最も専門的な診療科は「泌尿器科」です。特に、急に我慢できない尿意に襲われる「尿意切迫感」や、尿漏れを伴う場合は、「過活動膀胱」の可能性が高く、泌尿器科が専門です。また、男性で、尿の勢いが弱い、排尿後もすっきりしない(残尿感)といった症状を伴う場合は、「前立腺肥大症」が頻尿の原因となっていることがあります。夜中に何度もトイレに起きる「夜間頻尿」も、泌尿器科の主要な治療対象です。次に、女性の場合は「婦人科」も選択肢となります。子宮筋腫や卵巣嚢腫が大きくなり、膀胱を物理的に圧迫することで、頻尿になることがあります。また、更年期には、女性ホルモンの減少によって、膀胱周りの組織が変化し、頻尿や尿漏れが起こりやすくなります。下腹部の張りや、月経の異常などを伴う場合は、婦人科での相談も検討しましょう。さらに、「内科」や「糖尿病・内分泌内科」が適切な場合もあります。頻尿に加えて、異常に喉が渇き、飲む量も増えている場合、それは「糖尿病」のサインかもしれません。糖尿病では、血糖値が高くなることで、尿中に糖が排出され、その際に大量の水分が一緒に排出されるため、尿量が増え、頻尿になります。また、稀ですが、尿量を調節する抗利尿ホルモンの異常によって起こる「尿崩症」という病気も、極端な多尿と頻尿を引き起こします。その他、高血圧の治療薬(利尿薬)の副作用で、トイレが近くなることもあります。そして、見逃せないのが「心療内科・精神科」です。強い不安や緊張といった、精神的なストレスが原因で頻尿になる「心因性頻尿」という状態もあります。特に、特定の状況下(会議の前や、電車に乗る前など)で症状が強くなる場合は、この可能性が考えられます。このように、トイレが近いという症状の裏には、様々な原因が潜んでいます。どの科か迷う場合は、まずはかかりつけの内科医に相談し、総合的な視点からアドバイスをもらうのが良いでしょう。